炭素繊維強化プラスチック(CFRP)市場:世界的な動向、規模、シェア、成長、2032年予測

世界の炭素繊維強化プラスチック(CFRP)市場は、2024年に189.2億米ドルと評価され、2025年には207.2億米ドル、2032年には380.2億米ドルに成長すると予測されています。この成長は、予測期間における年平均成長率(CAGR)9.1%を反映しています。2024年には、アジア太平洋地域が市場をリードし、34.36%のシェアを占めました。

炭素繊維強化プラスチック(CFRP)は、優れた強度、軽量性、そして耐腐食性や耐疲労性で知られる高性能複合材料です。これらの材料は、炭素繊維とポリマー樹脂(主にエポキシ樹脂または熱可塑性樹脂)を組み合わせることで作られます。CFRPは、軽量化とエネルギー消費量を削減しながら性能を向上させる能力があるため、航空宇宙、自動車、建設、風力エネルギー、スポーツ用品、消費財など、様々な業界で広く使用されています。

レポートで紹介されている主要市場プレーヤーのリスト

  • ヘクセルコーポレーション(米国)
  • 東レ株式会社(日本)
  • SGLカーボン(ドイツ)
  • 三菱ケミカルグループ株式会社(日本)
  • 帝人株式会社(日本)
  • ソルベイ(ベルギー)

市場の推進要因

  • CFRP市場の主要な推進力の一つは、輸送分野、特に航空宇宙および自動車分野における軽量素材の需要の高まりです。CFRPは、鋼鉄やアルミニウムなどの従来の素材と比較して大幅な軽量化を実現し、燃費向上、排出量削減、性能向上につながります。
  • 再生可能エネルギー、特に風力エネルギーへの関心の高まりも、市場を押し上げています。CFRPは風力タービンブレードの製造に広く使用されており、その強度対重量比により、より長く、より効率的なブレードを実現し、より多くの電力を発電することが可能になります。
  • 自動繊維配置、3Dウィービング、樹脂トランスファーモールディングといった製造プロセスにおける技術進歩は、生産コストの削減と幅広い分野での採用拡大をもたらしています。これらの技術革新は、より複雑で耐久性の高いCFRP部品の開発にも貢献しています。

主要セグメントとアプリケーション

  • CFRPは、種類、樹脂、用途によって細分化されています。種類別では、PAN系CFRPが、高い引張強度、優れた耐疲労性、そしてコスト効率の良さから、最大のシェアを占めています。ピッチ系CFRPは高価ですが、より高い弾性率が求められるニッチな用途に使用されています。
  • 樹脂に関しては、熱硬化性CFRPが構造的完全性、耐熱性、そして航空宇宙・防衛用途での広範な使用により、市場を支配しています。熱可塑性CFRPは、リサイクル性、加工時間の短縮、強靭性といった利点を備えており、自動車や民生用電子機器に最適なことから、人気が高まっています。
  • 用途別では、航空宇宙・防衛分野が引き続きCFRPの最大の消費地であり、市場全体の需要の大部分を占めています。航空機の軽量化、ひいては燃費向上と二酸化炭素排出量の削減を可能にするこの素材は、航空機の構造や部品に不可欠な要素となっています。自動車産業もまた重要な分野であり、排出ガス規制の遵守、車両性能の向上、そして電気自動車の航続距離の延長のためにCFRPの採用が拡大しています。風力エネルギー、建設、海洋、スポーツ用品も主要な用途分野であり、市場の拡大に貢献しています。

詳細はこちら:https://www.fortunebusinessinsights.com/carbon-fiber-reinforced-plastics-cfrps-market-110101

地域別インサイト

2024年の世界のCFRP市場はアジア太平洋地域が圧倒的なシェアを占め、約34.36%という高い市場シェアを獲得しました。この優位性は、産業基盤の拡大、自動車生産台数の増加、そして特に中国、日本、韓国といった国々における建設・再生可能エネルギープロジェクトにおけるCFRPの利用増加に起因しています。北米は航空宇宙・防衛分野からの旺盛な需要に牽引され、これに続き、欧州は自動車デザインの革新とグリーンエネルギーへの取り組みに支えられています。

主要な業界動向

  • 2025年3月:HexcelとFIDAMCは、航空宇宙および産業用途向け複合材料の進化に向けて提携しました。両社の協力は、軽量で高性能な複合材料の性能を向上させる革新的な製造プロセスの開発に重点を置いています。この提携は、複合材料製造における効率性と持続可能性の向上を目指しています。
  • 2024年11月:東レ・アドバンスト・コンポジットは、コロラド州のゴードン・プラスチックスの資産を買収し、熱可塑性複合材料ポートフォリオを拡大しました。47,000平方フィートの新施設は、航空宇宙、スポーツ、石油・ガス、産業市場向けの高性能複合テープの研究開発とスケーラブルな生産を強化します。

課題

CFRP市場は、その優れた利点にもかかわらず、いくつかの課題に直面しています。特に価格に敏感な分野においては、製造コストと原材料費の高さが依然として大量導入の大きな障壁となっています。さらに、CFRP材料、特に熱硬化性複合材のリサイクルは、不可逆的な硬化プロセスのため、依然として技術的な課題となっています。

標準化の限界と、専門的な設計・エンジニアリング能力の必要性も、炭素繊維の普及を阻んでいます。さらに、炭素繊維は製造コストが高く、エネルギーを大量に消費するため、ハイエンド用途に限定されています。

機会

  • 電気自動車などの新興分野では、航続距離と効率性の向上を目的とした軽量素材の需要が急速に高まっており、CFRPのビジネスチャンスは拡大しています。インフラ整備や、橋梁、建物、トンネルの補強におけるCFRPの利用も、将来の成長分野として期待されています。
  • より持続可能でリサイクル可能な複合材料への移行もまた、新たなビジネスチャンスです。環境規制の厳格化や循環型経済への取り組みの加速に伴い、成形・リサイクルが可能な熱可塑性CFRPの需要は増加すると予想されます。

世界の炭素繊維強化プラスチック(CFRP)市場は、今後数年間で大幅な成長が見込まれています。複数の業界における需要の増加、急速な技術進歩、そして持続可能性と性能への関心の高まりにより、CFRPは現代のエンジニアリングと設計において不可欠な材料となりつつあります。コストやリサイクル性といった課題への対応は必要ですが、CFRP市場全体の見通しは依然として明るく、有望です。

 

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